KLC 検定シリーズ 学習ページ
職場のハラスメント予防基礎検定 学習ページ
このページでは、職場のハラスメント予防基礎検定の出題範囲に沿って、
ハラスメントの基本理解、職場での適切なコミュニケーション、相談対応、
カスタマーハラスメントへの基本対応などを確認します。
本ページは、法律上の判断や個別事案の違法性を判定するためのものではありません。
職場で働く人が、相手を尊重し、相談しやすく、安心して働ける職場づくりに役立てるための基礎学習ページです。
この学習ページで確認すること
職場のハラスメントは、単に「言い方がきつい」「相手が不快に感じた」というだけで判断できるものではありません。
発言や行動の内容、業務上の必要性、相手との関係性、頻度、状況、職場環境への影響などを総合的に考える必要があります。
そのため本検定では、「これは違法か」「処分すべきか」といった法律判断ではなく、
ハラスメントを防ぐための基本姿勢、適切な指導、相手への配慮、相談を受けたときの対応を中心に確認します。
予防
問題が起きる前に、言動や職場環境を見直す
配慮
相手の立場や状況を考えて伝え方を工夫する
相談
一人で抱え込ませず、相談しやすい体制をつくる
再発防止
事実確認と改善を行い、同じ問題を繰り返さない
1. ハラスメント予防の基本
ハラスメントは職場全体の問題です
ハラスメントは、当事者だけの問題ではありません。
被害を受けた人の心身に負担を与えるだけでなく、周囲の人の不安、職場の雰囲気の悪化、
業務効率の低下、離職、企業や組織への信頼低下にもつながります。
たとえ行為者に「悪気がなかった」としても、相手の人格や尊厳を傷つける言動、
職場で安心して働くことを妨げる言動は、職場環境を大きく悪化させる可能性があります。
ポイント
ハラスメント予防では、「自分は大丈夫」と考えるのではなく、
自分の言動が相手や周囲にどのような影響を与えるかを意識することが大切です。
「相手がどう受け止めるか」だけでなく「客観的にどう見えるか」も大切
ハラスメントは、相手が不快に感じたかどうかだけでなく、
発言や行動の内容、業務上の必要性、伝え方、場面、頻度、関係性なども考慮して判断されます。
たとえば、業務上必要な注意や指導は職場に必要なものです。
しかし、必要な指導であっても、人格を否定する言い方、大勢の前で繰り返し叱責する言い方、
業務と関係のない攻撃的な言い方になれば、問題となる可能性があります。
ハラスメント予防で大切な基本姿勢
- 相手の人格や尊厳を否定しない
- 業務上必要な指導でも、内容と伝え方を分けて考える
- 冗談や慣習で済ませず、相手や周囲への影響を考える
- 相談しやすい雰囲気をつくる
- 問題が起きたときは、放置せず適切な窓口につなぐ
2. パワーハラスメントを防ぐ考え方
パワーハラスメントの基本
職場におけるパワーハラスメントは、一般的に、
優越的な関係を背景とした言動、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動、
労働者の就業環境が害されるものという要素を踏まえて考えます。
ここでいう「優越的な関係」とは、上司から部下への関係だけではありません。
業務上必要な知識や経験を持つ人、集団での言動により相手が拒みにくい状況なども含めて考える必要があります。
適切な指導と問題のある言動の違い
適切な指導は、業務上の目的があり、改善点が具体的で、相手が次にどう行動すればよいか分かるものです。
一方で、問題のある言動は、人格を否定したり、必要以上に長時間責めたり、
業務と関係のない言葉で相手を傷つけたりするものです。
パワーハラスメントにつながりやすい言動の例
- 人格を否定する言い方をする
- 大勢の前で必要以上に強く叱責する
- 長時間にわたって繰り返し責め続ける
- 特定の人だけを無視したり、仕事から外したりする
- 業務上必要のない私的な雑用を強制する
- 能力や経験に見合わない過大な業務を、十分な説明や支援なしに押しつける
- 嫌がらせ目的で仕事を与えない
- 私生活や個人情報に過度に立ち入る
指導するときに意識したいこと
指導が必要な場面では、感情的に責めるのではなく、
「何が問題だったのか」「どう改善してほしいのか」「いつまでに何をするのか」を具体的に伝えることが大切です。
また、相手のミスや課題を指摘する場合でも、人格や能力そのものを否定するのではなく、
行動や業務内容に焦点を当てることが重要です。
避けたい言い方
「こんなこともできないのか」「あなたには任せられない」「本当に使えない」
改善しやすい言い方
「今回の資料では、数値の確認が不足していました。次回は提出前にこのチェック表で確認してください。」
3. セクシュアルハラスメントを防ぐ考え方
性的な言動は、職場環境に大きな影響を与えます
セクシュアルハラスメントは、性的な発言や行動により、相手が不利益を受けたり、
職場環境が不快なものになったりする問題です。
異性に対する言動だけでなく、同性に対する言動も問題となり得ます。
また、性的指向や性自認にかかわらず、性的な言動であれば注意が必要です。
特定の人に向けたつもりがなくても、周囲にいる人を傷つけたり、職場の安心感を損なったりする場合があります。
注意が必要な発言・行動
- 性的な冗談やからかいをする
- 恋愛、結婚、出産、容姿、身体に関する発言をする
- 性的な噂を広める
- 食事やデートに執拗に誘う
- 必要なく身体に触れる
- わいせつな画像や情報を職場で見せる、共有する
- 性的指向や性自認に関する侮辱的な発言をする
ポイント
「昔からこういう雰囲気だった」「冗談のつもりだった」という理由では、
相手や周囲が受ける不快感や不安を軽く扱うことはできません。
職場では、仕事に関係のない性的な話題や相手の私生活への踏み込みは避けることが基本です。
性別役割分担意識にも注意
「女性だからお茶出しをして」「男性なのに頼りない」「若い女性が受付をした方がよい」など、
性別によって役割や能力を決めつける言動は、職場の不公平感やハラスメントの背景になり得ます。
こうした発言がすぐにすべてセクシュアルハラスメントに該当するとは限りませんが、
職場の雰囲気を悪くしたり、特定の人に負担をかけたりする原因になるため、日頃から見直すことが大切です。
4. 妊娠・出産・育児・介護等への配慮
制度利用を妨げない職場づくり
妊娠・出産、育児、介護に関する制度は、働き続けるために重要な仕組みです。
制度を利用しようとする人に対して、利用をあきらめさせるような発言をしたり、
利用したことを理由に嫌がらせをしたりすると、職場環境を悪化させる原因になります。
たとえば、育児休業や介護休業について相談した人に対して、
「周りに迷惑をかける」「普通は取らない」「評価が下がると思った方がいい」などと言うことは、
相談しづらい職場風土をつくってしまいます。
配慮と押しつけの違い
妊娠中の体調、育児や介護の状況に配慮することは大切です。
しかし、本人の意向を確認せずに一方的に仕事を外したり、本人が希望していない扱いをしたりすると、
かえって不利益や疎外感につながる場合があります。
大切なのは、本人の状況を決めつけず、必要に応じて意向を確認し、
業務上の必要性と本人の希望を踏まえて調整することです。
配慮として望ましい例
「体調面で負担が大きい作業があれば調整します。必要なことがあれば相談してください。」
注意が必要な例
「妊娠しているなら重要な仕事は無理でしょう。あなたには任せません。」
周囲の人に求められる姿勢
- 制度利用を否定する発言をしない
- 「迷惑」「ずるい」などの言葉で責めない
- 本人の事情を勝手に広めない
- 業務調整が必要な場合は、個人攻撃ではなく職場全体の課題として考える
- 困ったときは上司や担当部署に相談し、一人に負担を集中させない
5. カスタマーハラスメントへの基本対応
正当な苦情とカスタマーハラスメントは分けて考える
顧客や利用者からの苦情がすべてカスタマーハラスメントになるわけではありません。
商品やサービスに問題があり、改善を求める正当な申し入れであれば、誠実に対応する必要があります。
一方で、要求内容に理由がない、サービスの範囲を大きく超える要求をする、
暴言や威圧、長時間の拘束、土下座の強要、SNSへの投稿をほのめかした脅しなど、
手段や態様が社会通念上許容される範囲を超える場合には、従業員の就業環境を害する問題となり得ます。
カスタマーハラスメントにつながりやすい言動の例
- 大声で怒鳴り続ける
- 人格を否定する暴言を繰り返す
- 長時間にわたり電話や窓口で拘束する
- 土下座や過剰な謝罪を要求する
- 契約やサービス内容を大きく超えた要求をする
- 従業員の個人情報を聞き出そうとする
- SNSへの投稿や悪評をほのめかして脅す
- 暴行、物を投げる、居座りなどを行う
ポイント
顧客対応では、まず内容を落ち着いて確認することが大切です。
ただし、従業員が一人で抱え込む必要はありません。
暴言や威圧、長時間拘束などがある場合は、職場のルールに従い、上司や責任者と連携して対応します。
職場としての基本対応
カスタマーハラスメントを防ぐには、現場の従業員だけに対応を任せるのではなく、
会社や組織として方針を明確にし、相談・報告しやすい体制を整えることが重要です。
- 対応方針をあらかじめ決めておく
- 従業員を一人で対応させない
- 必要に応じて上司や責任者が対応する
- やり取りの内容を記録する
- 暴力や脅迫など危険がある場合は、安全確保を優先する
- 現場だけで判断せず、本部・管理部門・専門機関へ相談する
6. 相談対応と職場環境づくり
相談を受けたときの基本姿勢
ハラスメントに関する相談を受けたときは、まず相談者の話を落ち着いて聞くことが大切です。
相談者は不安や緊張から、内容を整理して話せない場合もあります。
途中で決めつけたり、責めたりせず、安心して話せる雰囲気をつくります。
相談対応で大切なこと
- 否定せずに話を聞く
- 「気にしすぎ」「あなたにも原因がある」と決めつけない
- 相談内容を勝手に周囲へ話さない
- 相談者の意向や心身の状況に配慮する
- 必要に応じて正式な相談窓口や担当部署につなぐ
事実確認は慎重に行う
相談を受けた段階では、すぐに「ハラスメントである」「ハラスメントではない」と決めつけないことが大切です。
相談者、行為者とされる人、周囲の人、記録などを確認し、できるだけ客観的に状況を把握します。
ただし、事実確認を行う際にも、相談者のプライバシーを守ること、
相談したことによって不利益な扱いを受けないようにすることが重要です。
二次被害を防ぐ
二次被害とは、相談した人がさらに傷つくような扱いを受けることです。
たとえば、相談内容を周囲に言いふらす、相談者を責める、
「大ごとにしない方がいい」と相談を抑え込むような対応は避ける必要があります。
ハラスメントを防ぐ職場環境づくり
- ハラスメントを行ってはならない方針を明確にする
- 相談窓口を分かりやすく周知する
- 管理職だけでなく、全従業員が基本知識を学ぶ
- 相談しやすい雰囲気をつくる
- 職場内のコミュニケーション不足を放置しない
- 問題が起きた後は、再発防止策を考える
試験前の確認ポイント
試験では、単なる用語の暗記だけでなく、具体的な場面でどの対応が望ましいかを確認します。
次のポイントを押さえておきましょう。
指導
業務上必要な指導でも、人格否定や過度な叱責になっていないか。
発言
冗談や慣習で済ませず、相手や周囲を傷つける発言になっていないか。
配慮
妊娠・育児・介護などの事情を決めつけず、本人の意向を確認しているか。
顧客対応
正当な苦情と著しい迷惑行為を分け、一人で抱え込まない対応ができるか。
相談対応
相談者を責めず、プライバシーに配慮し、必要な窓口につなげられるか。
職場づくり
問題を個人任せにせず、職場全体で予防と再発防止を考えられるか。
注意事項
本ページは、職場におけるハラスメント予防の基礎知識を学ぶためのページです。
法律上の判断、個別事案の違法性、処分の妥当性、損害賠償の有無などを判定するものではありません。
実際のトラブルや法的判断が必要な場合は、勤務先の相談窓口、都道府県労働局、
弁護士、社会保険労務士などの専門機関へご相談ください。
参考資料
本学習ページは、厚生労働省および政府広報オンライン等の公的資料を参考に作成しています。
詳細を確認したい方は、以下の資料をご確認ください。
職場のハラスメント予防基礎検定を受験する
学習内容を確認したら、試験ページへ進みましょう。
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