従業員の休みの理由をお客様に聞かれたら?伝える範囲と対応例

個人情報・職場対応コラム

従業員の休みの理由をお客様に聞かれたら?

伝える範囲と対応例|不在の案内・復帰予定・取次ぎの伝え方

「今日は担当の方はいないの?」「病気なの?」「いつ戻ってくるの?」。受付や電話で聞かれたとき、どこまで説明すればよいか迷うことがあります。

お客様に必要な対応を案内することと、従業員の病気や家庭事情を説明することは、分けて考えましょう。不在でも用件を受け付けられるなら、休みの詳しい理由を話さずに対応できます。

この記事では、私的な事情を勝手に広めず、お客様の用件にも対応するための返答例を紹介します。

この記事は2026年10月3日時点の個人情報保護委員会の公式資料とKLCの学習資料を参考に作成しています。返答例は一般的な受付・接客場面を想定した例です。実際に案内する内容は、職場のルールと確認できている事実に合わせてください。

受付カウンターでお客様の問い合わせに対応するスタッフ

まずは不在の案内と、代わりにできる対応を伝えましょう

担当者が不在であることを業務上案内でき、自分が用件を受けられる場面なら、次のように伝えられます。

基本の返答例

「担当の○○は本日不在です。ご用件は私が承ります。」

自分では対応できない場合は、対応できる担当者へつなぐ、伝言を受ける、連絡方法を確認するなど、実際にできることを案内します。

  • 業務上案内してよい不在情報を伝える。
  • 病気や家族事情など、私的な理由を付け加えない。
  • 代わりの担当者や受付方法を案内する。
  • 復帰日や折り返しを、確認せずに約束しない。

「個人情報なので答えられません」で会話を終えるより、案内できることを伝え、お客様の用件を受ける方が、その後の対応につなげやすくなります。

不在の案内と、休みの詳しい理由を分けて考える

お客様が知りたいのは、担当者と連絡を取れるか、予約や手続きはどうなるか、誰が代わりに対応するか、といったことかもしれません。その案内に、病名や家庭事情が必要とは限りません。

スマートフォンでは、次の表を横にスクロールできます。

情報の種類 例 考え方
業務上の対応 代わりの担当者、受付窓口、予約変更の方法 職場で決めた方法に従い、お客様の用件に必要な範囲で案内する。
不在・対応予定 本日不在であること、案内が認められた対応再開予定 相手と目的を確認し、職場で案内してよいとされている内容だけを伝える。
私的な事情 病名、詳しい症状、治療内容、家族の事情 本人から聞いていても、お客様への説明として勝手に付け加えない。
私用の連絡先 個人の携帯番号、私用のLINE、自宅の住所 無断で渡さず、職場で認められた連絡方法を案内する。

勤務予定も、誰にでも自由に教えてよい情報とは限りません。予約対応のために案内する予定と、個人の詳しい勤務表を渡すことは区別してください。

従業員の病気や家族事情も、個人に関する情報です

個人情報は、氏名や電話番号だけではありません。特定の従業員についての病気や家族事情なども、個人情報として扱う必要があります。口頭の会話だから対象外、というわけでもありません。

病歴や健康診断の結果などは、法律上、特に配慮が必要な「要配慮個人情報」に含まれます。ただし、すべての休暇理由や家庭事情が、この区分に当たるわけではありません。

個人情報保護委員会は、従業員の健康情報について、要配慮個人情報に該当しない場合も、機微な情報を含み得るため慎重に扱うことが望ましいとしています。

参考:個人情報保護委員会:個人情報保護法ガイドライン(通則編) / 個人情報保護委員会:雇用管理分野の健康情報の取扱いに関する留意事項

お客様から聞かれたときの返答例

次の例の「○○」は、実際の担当者名などに置き換えてください。伝言、取次ぎ、連絡などは、職場で実施できる方法に合わせて使います。

1. 「今日は○○さん、お休み?」

「○○は本日不在です。ご用件は私が承ります。」

休暇であることが確認でき、職場として案内してよい場合は、「本日は休みをいただいております」でも構いません。どちらの場合も、聞かれていない詳しい理由まで説明する必要はありません。

2. 「病気なの?何があったの?」

「詳しい事情についてはご案内しておりませんが、ご用件はこちらで承ります。」

病気かどうか、病名は何かを、受付で勝手に説明しない言い方です。お客様の用件を受けることで、必要な業務対応へ話を進めます。

3. 「心配だから、どうして休んでいるか教えて」

「お気遣いありがとうございます。個人的な事情についてはご案内しておりません。よろしければ、ご伝言を承ります。」

心配する気持ちを受け止めることと、私的な情報を伝えることを分けます。伝言を受ける場合も、本人への伝達方法や担当者は職場のルールに従ってください。

4. 「いつ戻ってくるの?」

確認済みで、案内が認められた予定がある場合

「○○は、○月○日から対応を再開する予定です。それまでのご用件は、△△が承ります。」

まだ案内できる予定がない場合

「現時点でご案内できる対応再開の予定はありません。ご用件を伺い、対応方法を確認いたします。」

「たぶん来週には」「すぐに戻ると思います」と、推測で日付を伝えないようにしましょう。社内で予定を聞いていても、対外的に案内してよいかを確認します。

5. 「本人と親しいから、携帯番号を教えて」

「個人の連絡先はご案内しておりません。ご用件はこちらで承ります。」

常連のお客様や友人を名乗る相手であっても、その申告だけを理由に、勤務先が持つ私用の連絡先を渡さないようにします。必要な連絡は、代表窓口や業務用の連絡方法を使います。

6. 「担当者が休みでも、今日中に対応してほしい」

「お急ぎのご用件ですね。内容とご希望の期限を伺い、対応できる担当者を確認いたします。」

急ぎの用件は、必要な業務対応として受け付けます。そのために休みの理由を説明したり、休んでいる本人からの連絡を確認せずに約束したりする必要はありません。

つい言ってしまいやすい説明に注意しましょう

「少し体調を崩しているだけです」

病名を言っていなくても、健康についての説明を加えています。「少しだけ」「大したことはない」といった言葉も、本人の状態を自己判断で説明することになります。案内する必要や本人の意向を確認できていないなら、不在の案内にとどめましょう。

「ご家族のことで大変みたいです」

詳しい内容を伏せても、家庭の事情を伝えていることには変わりません。場合によっては、従業員本人だけでなく家族の情報も含まれます。用件への対応に不要なら付け加えないようにします。

「もう元気なので、明日には来ると思います」

本人の健康状態と、未確認の出勤予定を同時に説明しています。お客様がその予定を前提に来店する可能性もあるため、確認済みの案内と推測を混ぜないでください。

「知らないので分かりません」

本当に知らない場合は、そのまま伝えることもできます。ただし、事情を知っているのに、説明を避けるために「知らない」と答える必要はありません。「詳しい事情はご案内しておりません」と、案内する範囲について説明できます。

休みの理由を説明しないために、別の理由を作る必要はありません。病気で休んでいる人について「出張です」「研修です」などと事実と違う説明をせず、案内できる不在情報と対応方法を伝えましょう。

予約変更や対応の遅れは、必要な説明をしましょう

従業員の私的な事情を説明しないことと、お客様に影響する変更を説明しないことは別です。予約を変更する、担当者が交代する、返答に時間がかかるなどの場合は、サービスとして必要な案内を行います。

担当者が交代する場合の例

「本日は担当の○○が不在のため、△△が対応いたします。ご予約の内容はこちらで確認しております。」

予約の変更をお願いする場合の例

「本日のご予約について、予定どおりの対応が難しくなりました。ご不便をおかけして申し訳ございません。変更可能な日時をご案内いたします。」

予約内容を確認できていないなら「確認しております」とは言わず、確認してから案内します。変更できる日時や代わりの担当者も、実際に確保できている内容を伝えてください。

料金、キャンセル、手続きなどに影響がある場合は、職場の定めた対応を分かりやすく説明します。必要な案内をしながら、病名や家庭事情の詳細までは広めない形を考えましょう。

本人が話していた場合や、説明を了承している場合は?

職場で話したことが、お客様への説明の了承とは限らない

従業員が上司や同僚に休みの理由を伝えたのは、休暇の手続きや引継ぎのためかもしれません。「本人から直接聞いたから、お客様にも話してよい」と判断しないようにしましょう。

本人がSNSで公表していても、説明を付け足さない

本人がSNSで発信している情報でも、個人情報でなくなるわけではありません。勤務先が把握している治療内容や家庭事情を追加したり、本人が書いていないことを推測で説明したりしないでください。

了承がある場合は、相手・内容・範囲を確認する

本人から「お問い合わせがあれば、体調不良で休んでいると伝えて構いません」と案内を認められている場合も、職場の方針と合わせて、誰に何を伝えるかを確認します。

「体調不良と伝えてよい」という了承を、病名や治療内容、家族の事情まで説明してよい意味に広げないようにしましょう。実務上は、案内する文面を本人と担当者でそろえておくと、返答がばらつきにくくなります。

本人の了承を得る場合も、必要以上の説明を求めたり、事情の公表を当然のこととして迫ったりしないようにしてください。

受付で迷わないよう、職場で案内内容をそろえておく

急に担当者が不在になったときも、受付が事情を推測して話さずに済むよう、業務上の対応方法を共有しておきます。受付担当者全員に、休みの詳しい理由まで知らせる必要はありません。

  • お客様に案内する不在情報と、使用する返答例。
  • 代わりに対応する担当者や、用件を受ける窓口。
  • 案内できる対応再開予定と、その変更時の連絡方法。
  • 予約変更や急ぎの問い合わせを判断する担当者。
  • 伝言を誰が受け、どの業務用連絡手段で渡すか。

引継ぎメモには、対応に必要な内容を書く

共有メモは、担当者の病名や家庭事情の説明を中心にするのではなく、「本日は△△が対応」「予約変更は責任者へ確認」など、受付で必要な行動が分かる形にします。

誰でも見られる掲示板や、お客様から見える予約表に、私的な理由を書かないようにしましょう。詳細が業務上必要な担当者への共有も、内容と閲覧範囲を絞って行います。

伝言を受けても、本人からの返答をその場で約束しない

休み中の本人が連絡できるか分からない場合は、「本人から今日中に電話します」と約束しないでください。用件と希望の期限を受け、職場で対応方法を確認します。

実施できるなら、「対応方法を確認し、受付からご連絡いたします」と、連絡を担当する窓口まで案内できます。

詳しい事情を話してしまった場合は、自己判断で終わらせない

本人の私的な事情をお客様へ伝えてしまった場合は、それ以上話を広げず、職場の責任者や個人情報の担当者へ報告します。

いつ、誰に、何を伝えたかを整理し、関係者への連絡や今後の対応を確認してください。説明を取り消そうとして、別のお客様にまで同じ事情を話さないようにしましょう。

法律上の漏えいに当たるか、個人情報保護委員会への報告や本人への通知が必要かは、情報の内容や管理状況などに応じた判断が必要です。受付担当者だけで「少し話しただけだから問題ない」と決めず、担当者へ相談します。

会話や電話で伝えてよい範囲を、基礎から学べます

KLCの個人情報取扱実務検定の無料学習ページでは、従業員の休みの理由や病気、私用の連絡先などを、会話や電話でどう扱うかを学べます。

今回の記事に関連する内容は、「第1章 個人情報の基本」と「第2章 会話・電話・対面での取扱い」にあります。第2章には、休みの理由や病気を必要なく話さないこと、業務上必要な範囲の案内、本人の了承や職場の連絡方法を確認する考え方が掲載されています。

個人情報取扱実務検定の無料学習ページ

会話・電話・書類・メールなど、職場で個人情報を扱う場面の確認と判断を学べます。

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休みの理由より、お客様の用件に必要な案内をしましょう

従業員の休みについて聞かれたら、案内してよい不在情報と、代わりの対応方法を伝えます。病気や家庭事情を詳しく説明しなくても、用件を受ける、担当者を確認する、予約変更を案内するといった対応はできます。

「本日は不在です。ご用件は私が承ります。」という形を基本に、実際にできる対応を案内しましょう。復帰予定や連絡についても、確認できていないことを約束せず、職場で返答をそろえておくと対応しやすくなります。

公式情報・参考資料

情報確認日:2026年10月3日。法令・ガイドラインや職場の規程に変更がある場合は、最新の内容を確認してください。